
語りが生まれ、拡がるところ
北村篤司 著、梅原龍 カバー画/2018年7月/2000円(税別)
著者からのメッセージ
子どもが「非行」に走ったとき,親は周囲から批判されたり,非難を浴びたりする立場にあります。そのため,子どもの「非行」のことを率直に語るということ自体が非常に難しいことです。初めて会に参加したときには,涙が止まらず,うまく話すことができない参加者もいます。しかし,会に参加して,同じような体験をしている他の参加者の体験を聴き,自分自身の体験を語っていく中で,何かが少しずつ変わっていき,新しい語りが生まれていきます。『語りが生まれ,拡がるところ』というタイトルが示すように,この本では,「非行」と向き合う親たちのセルフヘルプ・グループにおいて,どのように新しい語りが生まれ,拡がっていくのかを考えていきたいと思います。
(「はじめに」より)
もくじ
はじめに
第1章 問題と目的
第1節 子どもの「非行」と親
第2節 子どもの「非行」と向き合う親たちの会の活動
第3節 問題意識と目的
第4節 本書の構成
第2章 語りへの着目
第1節 セルフヘルプ・グループに関する先行研究
第2節 ナラティヴ・アプローチの意義と課題
第3節 探求する問い
第3章 エスノグラフィーによる調査
第1節 エスノグラフィーという方法
第2節 フィールド:「非行」と向き合う親たちの会
第3節 フィールドとの関わり
第4節 参与観察・インタビューの実施
第4章 語りや体験が変化するプロセス
第1節 子どもの「非行」で悩んだ親の体験
第2節 分析の方法
第3節 例会で生み出される語りの特徴
第4節 語りの類型と参加者の体験が変化するプロセス
第5節 考察:グループへの参加と語りの拡がり
第5章 語りがどのように構築されているのか
第1節 コミュニティ・ナラティヴと語りの構築
第2節 分析の方法
第3節 親たちの会におけるコミュニティ・ナラティヴの醸成
第4節 語りの構築とポジショニング
第5節 考察:親たちの会における語りの構築
第6章 親以外の立場の参加者の語りの構築への関わり
第1節 親以外の立場の参加者の関わり
第2節 分析の方法
第3節 親以外の立場の参加者の語りや関わりの特徴
第4節 親の立場の参加者の受けとめ
第5節 語りの構築に影響する条件や文脈
第6節 考察:「ともに」学び,語り合う実践
第7章 「非行」と向き合う親たちのセルフヘルプ・グループの特徴と機能
第1節 3つの問いに対する答え
第2節 「非行」と向き合う親たちのセルフヘルプ・グループの特徴と機能
第3節 知見の意義
第4節 今後の課題
おわりに
初出一覧
引用文献