
こんな思春期 あんな青年期
「非行」と向き合う親たちの会 編/2018年2月/1600円(税別)
はじめに
本書には、現在80代から20代の76人の方々の思春期・青年期の頃の思いやエピソードが綴られています。
その中には、「告白」に近い、にがさや苦しさを伴ったものもありますし、当時は見えていなかった自分の心の奥底に光を当てたもの、また、時代を強く反映した青春の姿もあります。
これらは、「非行」と向き合う親たちの会(通称・あめあがりの会)が毎月発行している『あめあがり通信』の巻頭に「私の思春期・青年期」と題して、2005年から2016年の間に掲載されたエッセイです。さまざまな分野で活躍している方々に寄稿していただき、毎号、読者の皆様からたくさんの反響が寄せられてきました。
「自分の中で封印していたものを解きました」といった言葉が添えられた原稿や、「あの頃の心に戻ることができた」といった思春期の自分を愛おしく書いてくださった原稿、親との葛藤、受験のつらさ、友達関係などなど……。すっかり大人になって、社会で活動している人たちにも、こんな思春期・青年期があったのかと、人生の奥の深さを改めて感じることと思います。
本書では、年齢の高い方から順番に収録しました。
ぜひ感想をお寄せください。
「非行」と向き合う親たちの会 代表 春野すみれ
もくじ
■ 戦争があり、戦後があった
クラス全員が海軍航空隊を志願 後藤重三郎
私の原点 浅川 道雄
親友 野口のぶ子
私も「不良少年」だった 能重 真作
授業放棄という「事件」 安納 一枝
少年期の私 中嶋 庄亮
仲間と共に大将に立ち向かっていった日 北澤 信次
懸命に生き、愛した日々 田中 郁
人と人のつながりの大切さ 鳥海 永
温厚な兄の自死に 岩瀬 暉一
私の青春期は続く 伊藤 史子
なぜ死ななかったのだろう、なぜ死ねなかったのだろう 赤尾 嘉樹
悩み深く生きて、教師に 丸山 慶喜
我が青春、戦争さなかの北部ベトナムで 鈴木 春夫
「やったー!!」ついに母からの自立 佐藤 収一
いじめを受けてつらい日もあったけど 鹿又 克之
思いっきりの青春 樋口 優子
人生を変えた 初恋の彼女からの一冊の本 鈴木 正洋
誉れと不合格と 小柳 恵子
父子の葛藤 加藤 暢夫
かきつばた 八田 次郎
■ 経済成長、学生運動、抵抗と挫折と
生き方を学んだ道場−−下町の人々との交わり 原 和夫
三つの恋の物語 森田 耕平
寄り道も惑いも愚行も…… 中西新太郎
私の幸せ探し、夢を追いながら 山本 鈴子
反抗期 森 英夫
父との修羅場の日々 能登原裕子
〝初恋〟から処女作〝かっぱとうし〟まで 石田かづ子
念ずれば花開く−−消防職員が児童養護施設を創設−− 八須 信治
「十七の 今でなければできないことを したい心が空回りする」 山本なを子
真っ黒に感じた思春期の思い出 糠信 富雄
うまく表現できないけれど…… 足立眞理子
私の中の革命の時代 谷中由利子
世の中の矛盾に目覚めた体験の数々 長汐 道枝
ちょっと遅い青春 真っ白い息 吉野 啓一
人生の風景を変える言葉 須藤三千雄
「先生ありがとう! みんなありがとう!」 徳井 久康
あこがれと、悔しさと 春野すみれ
中学二年の合法的家出 岡田 真紀
あの時代だったから 平井 威
遅い反抗期からの卒業? 小林美由紀
娘がくれた私の思春期 松本 京子
シュークリームの女の子 遊間 千秋
K子のこと 池田 康子
普通の私が育つ陰には 湯浅 妙子
十八歳には戻りたくない 阿部 和子
人がいなくなった町で 片岡 洋子
楽しかったはずだけど…… 小久保志津子
思春期−−アンバランスな心 杉浦ひとみ
■ TVゲーム、コンビニ文化と共に
「非行」はいつも私のそばにあった 上田祐子
ボランティアにどっぷり 小林 良子
みんないい線いってるよ〜 寺川 知子
脱脂粉乳の思い出 宮崎 隆志
劣等感からの出発点 柊 ゆうき
暴力団との関係を断ち、今は仲間に囲まれて N
私は私で生きていく。それでいいよね 草刈智のぶ
そんな時代もあったねと♪ 根津 一秀
悩み、語り合うことが保障されたあの頃…… 鳥羽 恵
私の「終戦」 遠藤 啓示
学校なんて嫌い、から始まった 平野 和弘
ほめられて自信をつけて 杉浦 孝宣
振り返って思えば、恋しい思春期 遠藤 美季
自分探しの旅の先 岸本 靖子
「問題なく育った」と思い込んでいたけれど 内山 平蔵
青年期の「ボランティア」活動は大切 鈴木 正昭
居場所 坂爪 都
自分に返ってきた息子の思春期 瀬戸こころ
■ 青春はインターネットの時代に
経営戦略としての良い子 山王 文恵
教師への失望から救われた僕の恩返しは 船越 克真
記憶に残るオレンジと灰色の日々 井形 陽子
体罰に負けたくなかった 山中多民子
熱をもって接すれば 坂本 博之
「過去」を価値に変える 三宅 晶子
善と悪、少年院が僕の大学 竹中ゆきはる
にっこり笑う小さな自分を見た 馬場 望
その時の思いは今の自分の中に 北村 篤司
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