思春期問題シリーズ(2) 思春期の育ちを支える

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思春期の育ちを支える

思春期問題シリーズ(2)
思春期の育ちを支える
〜新たな地域社会の共同へ
田中孝彦 著/2000年8月/800円(税込)

概要

非行・不登校・閉じこもり・暴力……。 思春期の子育ての困難に向き合う親たちから学ぶ、子育ての智恵と勇気。
子どもの心の声を徹底的に聴くとはどういうことか、子どもたちは何によって自分を成長させていくのか、
地域社会の子育ての新しい共同を作り上げる必要性を提起し、すべての親・教師をあたたかく励ますメッセージ。

子どもの心の声を、いま徹底的に聴いて、現代社会での人間形成の課題や、子育て・教育のあり方を、じっくり考えてみる必要があるのではないでしょうか。
とくに地域社会で、子どもの育ちを支えていくための新しい共同を広げていく必要があるのでは…(本文より)

もくじ

子どもの育ちを支えるために
現代の子どもへの接近/「きれる」とは/情動と人間形成/
言葉の人間的な獲得/相反する感情に折り合いをつける体験/
人権と自由を尊重し合える秩序づくり/青年の人生選択の不安/生き方への問いに答える学習の機会を

思春期に揺れる子どもと向き合う
─親と子の「非行」体験から学ぶもの

子どもの復元力への信頼
子どもたちの傷つき野深さ/逸脱を越えて身につけた人間的感覚/真の教育改革をつくり出すとは

苦労の中から蓄えられた子育ての知恵
並大抵でない苦しみ/親子の関係を「結び直す」まで/
思春期の模索の根拠地を探す/獲得してきた庶民の力の交流を

見守る他者の力
わかってくれる人がいれば耐えられる/子育ての輪を大きく広げて

子ども論議の方向を変える
地域の眼差し、地域の力/子どもたちのための落ち着いた関係を

いま、子どもの世界に何が起きているのか
○K君との出会い
対教師暴力事件で校内逮捕/試験観察と学校の対応/付添人となって/「100円玉で買えるぬくもり/自分を大切にすること/揺れながら自立への道を模索する

○社会に翻弄される子どもたち
過激に変化する環境/時代が変えた家庭・家族/子どもを追いつめる競争の教育と学校/高度情報化・消費社会の波の中で/あいまいになった大人と子どもの境界線/希薄な人間関係といじめ/「いい子」/「普通の子」の非行/「自分らしさ」と「合わせの文化」

非行で問われる「子ども観」
○厳罰化を強めた「改正」少年法
少年法が甘いから事件が起きるのか/審判が「裁きの場」に

○管理と排除の傾向が強まる学校
中学校の出席停止/ある養護教諭の苦悩

○問われる大人の子ども観

「あの子をもう一度産んで育て直したい」
○ある集団暴行致死事件から
事件はこうして起きた/事件の残虐性はどこからくるのか/「子どもを愛せなかった」/それでも愛してくれますか

○地域社会と子どもたち
「改正」少年法適用第1号か、と/「事件」は起こった/地域で —嘆願書名に歩く/子どもを育てる地域の力を

○子どもを無条件で受け容れるとは
「この人は自分を信じてくれる」と/子どもに共感できる力

新しい形のコミュニティ
反響呼んだ「夏休み『非行』何でも相談」/「悩みの共有」という素朴な願いから/自分を立ち上げ力へ