つぐなうために 受刑者が見た修復的司法の真実と光

つぐなうために 受刑者が見た修復的司法の真実と光

山田由紀子(弁護士)/AKIRA(受刑者)著、装丁 平和子/2020年8月/1200円(税別)

著者からのメッセージ

山田由紀子

対話の会は、当初少年非行事件での被害者加害者対話を中心に活動していましたが、実践の積み上げの中で、その活動をいじめや成人犯罪、さらには職場でのセクハラやパワハラなどのハラスメントなどに広げてきました。
そんななか、二〇一六年九月に、刑務所で懲役刑を受刑中のAKIRA氏から初めて手紙が届きました。対話の会のこと、修復的司法のことを詳しく知りたいと言うのです。
AKIRA氏の十年余の体験は、いわば『体験的修復的司法』とも言えるものです。そして、日頃私が「〈被害者の被害回復〉と〈加害者の立ち直り〉、その両方のために、修復的司法はぜひとも広められるべきだ」と主張していることやその理由を、まさに体験的に裏付け実証してくれるものです。
私は、被害者と加害者の必要以上に引き裂かれている遠い距離を縮めるものは、修復的対話による〝気づき〟だと考えています。本書が、被害者・加害者についての人々の見る目や被害者支援・受刑者の処遇に携わる専門職の方々の活動に、ひとつの〝気づき〟をもたらすものとなることを切に願っております。

AKIRA

本書は、対話の会の山田理事長との往復書簡で、私という罪をおかした一個人が逮捕から裁判を経て受刑生活中に反省し、被害者への謝罪・被害弁償に至るまでの十年余りの心の変遷を振り返ったものですが、現行刑事司法システムの各段階における被害者への謝罪や弁償に関する対応、少年刑務所と成人刑務所の違い、私が痛感した修復的司法の必要性などについて、僭越ながら言及しています。
刑罰とは一体何のために、誰のためにあるのでしょうか。
一般に流布している〝被害者像〟〝加害者像〟は実像でしょうか。
被害者の癒し・被害の回復や立ち直りに関して必要なことは、加害者の反省や改善更生・再犯防止といった地域社会での再統合のために必要なことと相反するものなのでしょうか。
犯罪という害悪をどのように捉え、いかに対処していくことが当事者たる被害者・加害者のため、ひいては地域社会のためになるのか、一般の人々が担うべき役割があるとすれば、それはどのようなものかなどについて、本書がみなさまに新たな視点に立って考えていただく契機となれば望外の幸せです。

(「はじめに」より抜粋) 続きを読む

語りが生まれ、拡がるところ

語りが生まれ、拡がるところ

北村篤司 著、梅原龍 カバー画/2018年7月/2000円(税別)

著者からのメッセージ

子どもが「非行」に走ったとき,親は周囲から批判されたり,非難を浴びたりする立場にあります。そのため,子どもの「非行」のことを率直に語るということ自体が非常に難しいことです。初めて会に参加したときには,涙が止まらず,うまく話すことができない参加者もいます。しかし,会に参加して,同じような体験をしている他の参加者の体験を聴き,自分自身の体験を語っていく中で,何かが少しずつ変わっていき,新しい語りが生まれていきます。『語りが生まれ,拡がるところ』というタイトルが示すように,この本では,「非行」と向き合う親たちのセルフヘルプ・グループにおいて,どのように新しい語りが生まれ,拡がっていくのかを考えていきたいと思います。

(「はじめに」より) 続きを読む