思春期問題シリーズ(3)事件の理由

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事件の理由

思春期問題シリーズ(3)
事件の理由(わけ)
〜記者が見た少年たちの心の現場
毎日新聞教育取材班 著/A5判 96P/2001年4月/903円(税込)
★ 日本図書館協会選定図書

解説

「人を殺してみたかった」──
相次ぐ少年事件を追う中で見えてきた現代。
教育取材班の記者たちが、少年少女の心の現場に分け入って、
その背景と闇をていねいに探りつつ「生きる力とは何か」を鋭く問う!

ショッキングな事件は、特異ではあるが、決して一般の子供たちと無縁な世界の出来事ではない。
子供たちに今、何が起きているのか、どうすれば「生きる力」を育むことができるのか。何がそれを拒んでいるのか。

取材班は、時代がもっともよく反映される「事件」の現場に入り、その「理由(わけ)」を探ることから、取材をスタートさせた。

 もくじ

事件の理由(わけ)
ブラックヒーローの影=金づち殴打事件
授業中に「人の命は5円」と=バット殺人事件
「もっと悪くなる前に捕まりたかった」=父とナイフ
ナイフ携え“放浪”=優等生の重圧
インターネットで行き着いた「掲示板」=覚せい剤
「本当の自分を出して傷つくのが怖い」=万引き少女
水泳を続けてたら……=暴走族
大人社会への「怒り」=新宿爆発
「愛された」実感乏しく=「いい子の転落」
親からの疎外感を抱いて=女子少年院
自分本位の義侠心=反抗
立ち直りの正念場=こころの「安全地帯」

記者の目
親たちの本音の中に手がかりが ―遠山和彦
受け止めてくれるだれかの大切さ ―五十嵐英美
行為と心の「矛盾」にも思いをよせて ―木村哲人
間に合えば、「生きる力」は育めると知った ―林田雅浩
あとがき 瀬戸純一(毎日新聞論説委員兼編集委員)

読者のこえ

私は中学1年の息子をもつ母親ですが、小学校からもイジメられたりと、不安な生活をしています。私の子どもの頃とはあまりにも違いすぎて、考えられないことばかりです。子どもに対してだけでなく、先生もです。昔も色々あったけど、今はひどい世の中だし、学校です。そんな中にいる生徒は何を信じて、何を目標にしていいのか、ほとんどの子は分からなくなってくると思います。この本を読んで、明日は私の家庭にも起こりそうで怖いです。親としても何がよいのか分からないで、手探りです。(和歌山県和歌山市・女・46歳・主婦)

毎日新聞で読んでいましたが、この本のように記者の言葉をプラスして読むことによって深まりを感じます。生きる力を考える時、必ず大切なことは、他と共に生きるという基本を忘れてはならないと思う。とともに自分より幼いものへのいたわりと教育の責任を、一人一人が自覚し、日々を大切にすることにあると思うのですが。(滋賀県大津市・女・57歳・主婦)

どの子にも起こりうる「非行」。何も今の時代特殊じゃない。親の環境、子どもの環境、社会や世界の動きの中で、本当に今の君でいいんだよ、と見守られながら、のびのびと成長する子どもを、そして大人も、大丈夫だよ、と支え合うことの、何と当たり前で大事なことでしょう。この本を友人にプレゼントしたいと思います。(大阪府八尾市・女・45歳・看護婦)